要約 厚生労働省「クラスター対策班」設置以来、日本のCOVID-19対策は、小規模な感染の見逃しを許容しながら大規模な集団感染を重点的に発見する「クラスター対策」を中心に据える所に特徴があると公式に説明されてきた。しかし、実際の「積極的疫学調査」の…
分科会資料として公開された7月と12月のクラスターのデータからいえる、「第2波」と比較した「第3波」の特徴は、 (1)「接待を伴う飲食店」クラスターの寄与の低下 (2)「職場」「教育施設」クラスターの寄与の上昇 ということになろう。「会食」についてはカ…
昨日の記事 で「現在では、政府やそれに関係する専門家が口にする「クラスター」は、「2人以上の集団感染」である。「多数の感染」という意味は完全に消失している」と書いたところ、そうじゃない情報がいきなり出てきた。 政府の新型コロナウイルス対策の分…
前回の記事 https://remcat.hatenadiary.jp/entry/20210106/eat にこのようなコメントがついていた。 分類に家庭内が無いが、クラスターは概ね5人程度の発生を目安としているから、核家族化が進む現状では、家庭内での感染でクラスターになる例があまり多く…
要旨 「飲食店でのクラスターが多い」という議論の論拠となっている新型コロナウイルス感染症対策分科会第19回会議 (12月23日) 資料のグラフが不審であり、数値が操作されている疑いがある。第12回会議 (10月23日) の資料と比較した結果、クラスター分類の恣…
「クラスター」という概念は、何らかの基準で一定の範囲を区切って患者の集団を識別する目的で使われる。日本の新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 対策で言及される「クラスター」は、おおむね、(1) 場所による基準、(2) 感染ネットワークによる基準、の2…
日本の新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 対策において、「クラスター」ということばはさまざまな異なる意味で使われており、混乱を招いている。このことばにはどのような定義があり、どこがちがうのか、解説を試みる。 目次 豊洲市場問題と東京都の「ク…
3月23日神戸-那覇便クラスター 10月23日、国立感染症研究所の雑誌『病原微生物検出情報』に、神戸空港から那覇空港への飛行機 (3月23日) で発生したとみられるCOVID-19集団感染の報告が掲載された。 2020年3月26日, 〔那覇市保健所〕管内の医療機関からCOVI…
KAKENHI research plan (2021-2023) 科学研究費補助金 (基盤研究(C)) 2021-2023年度小区分: 社会学関連 研究代表者: 田中 重人 状況: 書類作成中※ 現在作成中の研究計画です。今後修正する可能性があります。 1. 研究目的、研究方法など 概要 厚生労働省 (お…
https://remcat.hatenadiary.jp/entry/20200921/3m で紹介した資料等を基にした論文を書きました。 OSF Preprints でとりあえず公開しています:Tanaka Sigeto. 2020. 「3密」概念の誕生と変遷: 日本のCOVID-19対策とコミュニケーションの問題. OSF Preprint…
日本の新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 対策において重要な概念である「3密」あるいは「3つの密」について、政府文書、報道等でどのようにあつかわれてきたかの資料。適宜加筆します。 目次 前史 「よどんだ」環境 3月3日プレプリント 厚生労働省Q&A 2…
『日本経済新聞』電子版に掲載された表記記事 https://www.nikkei.com/article/DGXZZO62684590V10C20A8000000/ がいろいろおかしいので、下記の質問書を同社に送りました。 (https://support.nikkei.com のフォームから 2020-08-15 14:47 送信。インシデント…
東京新聞の記事とその疑問点 東京新聞が「検証・コロナ対策」という特集をはじめている。新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 対策について、「その歩みを振り返り、危機への備えに何が必要かをあらためて考える」のだという。その第1回、「水際対策強化に…
COVID-19対策「日本モデル」の前提となってきた、COVID-19感染のほとんどはSSE (super-spreading event) で生じるという命題について、Furuse et al (2020) 「日本モデル」の前提となってきた、COVID-19感染のほとんどはSSEで生じるという命題について、Furu…
岩波書店発行の月刊誌『世界』2020年7月号 (=934号) の特集1「転換点としてのコロナ危機」に、つぎの小文を寄稿しました。 感染症対策「日本モデル」を検証する: その隠された恣意性 岩波書店 『世界』 2020年7月号 (934号) 本稿で「日本モデル」と呼んでい…
※この文章は、2019年度の東北大学文学部の授業「人文社会総論」の準備のために2019年4月7日に書いたものの、結局使われなかったものです。ブログ掲載時 (2020年6月13日) に多少加筆しています。※内容の一部は、2018年の科学技術社会論学会第17回年次研究大会…
クラスター対策の基本的性質 Science のサイトに Japan ends its COVID-19 state of emergency という記事が掲載されていました。 Then, whereas much of the rest of the world built its response to the pandemic on widespread contact tracing, isolati…
KAKENHI research (2017-2019) #17K02069 result report. 加齢による妊孕性の低下に関する非科学的な知識の生産・流通の実態を調査し、非科学的なグラフやそれを「卵子の老化」と結びつける言説が本格的に出現したのは2011年以降であること、しかしそれ以前…
科学研究費補助金による研究プロジェクト「非科学的知識の生産・流通と「卵子の老化」パニック」(基盤研究(C) 2017-2019年度 #17K02069) 第2年度の実施状況報告書 (2019-05-07 日本学術振興会に提出) ※このブログに書いたのは提出から1年以上たっていて、第3…
執筆中原稿について情報源のメモ (随時追加します): 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(二〇二〇年四月一日) https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000617992.pdf 高橋直純「入院は重症者優先、…
科学研究費補助金による研究プロジェクト「非科学的知識の生産・流通と「卵子の老化」パニック」(基盤研究(C) 2017-2019年度 #17K02069) 最終年度の実施状況報告書 (2020-04-28 日本学術振興会に提出) [2020-06-04 「研究発表」を追加] 研究実績の概要 (Summ…
「8割は人にうつさない」に飽き足らず、さらに誇張したグラフが使われている問題について。 目次 「新型コロナクラスター対策専門家」による「例示」グラフ 暗数を補正する 「3密」クラスターの見落としがある場合 どうなれば終息するのか おわりに [ 前の…
2月末~3月頭の政府情報と報道 前回記事 「「8割は人にうつさない」は嘘? (1): Nishiura et al (2020) 論文をどう読むか」 でとりあげた厚生労働省Q&Aのグラフが公表されたのは、2月29日のようである。厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の…
新型コロナウイルス感染者の8割は人にうつさない、という言説とその根拠とされる論文についての検討。 目次 厚生労働省の謎情報とメディア言説 Nishiura et al (2020) 3月3日版 改訂版 感染例のデータ構造 なぜデータ上の2次感染数がすくないのか 議論 厚生…
2020年2月2日(日) 14:00-16:30 渋谷男女平等・ダイバーシティセンター<アイリス>。西山千恵子・田中重人:愛媛県への抗議文―経緯と問題、県の対応。高橋さきの:「県民性」をめぐって――「血液型」そして「淘汰」
Deviance Deviance and inequality in Japan: Japanese youth and foreign migrants Robert Stuart Yoder ISBN:9781847428325 2011 Policy Press Scholarship Online: March 2012Deviance and Inequality in Japan: Japanese Youth and Foreign Migrants作者…
Dictionary 現代社会学事典作者: 大澤真幸,吉見俊哉,鷲田清一,見田宗介出版社/メーカー: 弘文堂発売日: 2012/12/03メディア: 単行本 クリック: 16回この商品を含むブログ (3件) を見る人口学事典作者: 日本人口学会出版社/メーカー: 丸善出版発売日: 2018/11…
前回記事「まちがいさがし」 の答え。 下記の画像は、毎月勤労統計調査による「標本誤差率」の表を『毎月勤労統計要覧』各号からコピーしてきたものです。2001年からさかのぼって1996年まで、8枚あります。この表のなかに、年次によって数値にちがいのあると…
問題 下記の画像は、毎月勤労統計調査による「標本誤差率」の表を『毎月勤労統計要覧』各号からコピーしてきたものです。2001年からさかのぼって1996年まで、8枚あります。この表のなかに、年次によって数値にちがいのあるところはいくつあるでしょうか。た…
今年2月6日の参議院予算委員会で、2003年までおこなれていたとされる毎月勤労統計調査のサンプル間引き の件がとりあげられた。それから半年以上たったが、どういうわけか、このときの委員会の議事録がいまだに公開されていない。国立国会図書館「国会会議録…