remcat: 研究資料集

(TANAKA Sigeto)

日本家族計画協会『家族と健康』732号記事「学校教育の改善求め要望書提出」訂正

日本家族計画協会『家族と健康』732号1面 (2015年3月) 記事「学校教育の改善求め要望書提出」の訂正が出てた (739号)。2面の端にひっそりと。絶対にあるはずと思って探さないかぎりみつけられないレベルのめだたなさ。

日本家族計画協会『家族と健康』739号2面 (2015年10月) 「お詫びと訂正」

内容は以下のとおり

お詫びと訂正
 本紙3月1日号において、「学校における健康教育の改善に関する要望書」を1月下旬に内閣府に提出したと報じましたが、正式な提出は3月2日でした(4月1日号既報)。記事中の参考資料にも一部訂正がございます。深くお詫び申し上げます。

――日本家族計画協会『家族と健康』739号2面 (2015年10月) 「お詫びと訂正」

この訂正記事が言及している「4月1日号既報」というのはこれのことだろう。

 政府は3月20日、「少子化社会対策大綱」を閣議決定した。大綱では、「少子化社会は、個人にとっては、結婚や出産を希望しても、実現が困難な社会である」「個人・地域・企業・国家に至るまで、多大な影響を及ぼす」「現在の少子化の状況は、我が国の社会経済の根幹を揺るがしかねない危機的状況にある」としており、政府はこれまでよりも踏み込んだ形の施策と、数値目標を掲げた。

 その一つが「学校教育段階からの妊娠・出産等に関する医学的・科学的に正しい知識の教育」だ。大綱では「個人が将来のライフデザインを描き、妊娠・出産等についての希望を実現できるように(中略)医学的・科学的に正しい知識を適切な教材に盛り込むとともに、教職員の研修などを行う」としている。これは、本会や日本産科婦人科学会を含む学際的9団体が、有村治子内閣府特命担当大臣に提出した要望書(前号で既報)の内容に沿った形だ

――日本家族計画協会『家族と健康』733号3面 (2015年4月) 「妊娠・出産に関する正しい知識 学校で: 少子化社会対策大綱 閣議決定」〔強調は引用者〕

http://www.jfpa.or.jp/paper/main/000458.html#4

「妊娠のしやすさ」をめぐるデータロンダリングの過程」(2015-08-23) で書いたとおり、この732号1面記事にいう「学校における健康教育の改善に関する要望書」なるもののタイトルと提出日が、日本産科婦人科学会のページ内閣府の記録 と食い違っていることが気にかかっていたのだが、結局、同一のものを指しているということのようだ。そうすると要望書タイトルは「学校教育における健康教育の改善に関する要望書」が正しいのではないかと思うのだが、こちらは訂正なし。

上記『家族と健康』739号2面の訂正記事には「記事中の参考資料にも一部訂正がございます」ともあるのだが、訂正内容の記述はなく、正誤表も発行されておらず(図書館で確認)、日本家族計画協会サイトの「機関紙」のページにも何も表示されていない (ただし当該記事は削除されている)。要するに、「参考資料」に関しては、実はなにも訂正されていない。

というわけで、「妊娠のしやすさ」改ざんグラフについては、つぎのようないきさつであったことが確認できる。

また、このグラフは吉村泰典内閣官房参与慶應義塾大学名誉教授、日本産科婦人科学会元理事長、日本生殖医学会元理事長)が改ざんし、内閣府に提出した ものであることがすでに明らかになっている。