厚生労働省「毎月勤労統計調査」において、東京都の500人以上規模の事業所を1/3程度しか調査していなかった問題が報道されています。1月11日には厚生労働省からプレスリリース 「毎月勤労統計調査において全数調査するとしていたところを一部抽出調査で行っていたことについて」 が出ました。
この問題について、現時点でわからないこと (つまり今後調べるべきこと) をまとめました。
参考: https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1.html
参考: https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/dl/maikin-setumei.pdf
東京都の500人以上規模の事業所のサンプリングの問題
(A) サンプリングは何度おこなったのか
(A1) 定期的なサンプル入替の際、また昨年からのローテート・サンプリング方式導入の際にはどうしたのか
(A2) 脱落事業所の補充はどうしていたのか
参考: https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/maikin-20180927-01.pdf
(B) サンプリングの具体的な方法
(B1) 無作為抽出だったのか
(B2) 産業による層化をおこなっていたのか
(B3) 抽出率はどのようにして決めたのか
(B4) ずっとおなじ方式でサンプリングしてきたのか
参考: https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1d.html
参考: https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/30-1d-02.pdf
母集団復元の問題
(C) 母集団の復元は具体的にどのようにおこなったのか
(C1) 2018年1月以降の公表値では東京都の500人以上規模事業所の母集団への復元がなされていたと報じられているが、それは具体的にどういう方法でおこなったのか
(C2) それは2012年以降のデータについて今回再集計したのとおなじ方法か
(C3) プレスリリース「毎月勤労統計調査において全数調査するとしていたところを一部抽出調査で行っていたことについて」(https://www.mhlw.go.jp/content/10700000/000467631.pdf) 「別添1」(p. 5) には、2018年の数値についても「再集計値」が載っているが、これはなぜか。
参考: https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1c.html#01
(D) 平均給与の過小推定の割合が時期によって違うが、これはなぜか (https://www.mhlw.go.jp/content/10700000/000467631.pdf「別添1」)
毎月勤労統計調査の精度
(E) 今回あきらかになったことに基づいて標本誤差率を計算しなおすとどうなるか
参考: https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/dl/maikin-chousa-seido.pdf
(F) 「全数調査にしなくとも精度が確保できる」という手引があったと伝えられている (https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39928280R10C19A1EA2000/ など) が、この手引きの主張に根拠は示されていたのか
(F1) そもそも毎月勤労統計調査に必要な精度はどの程度のものか
追記 [2019-01-15]
毎月勤労統計調査それ自体や、統計的推測の方法については https://remcat.hatenadiary.jp/entry/20190114/Maikin 参照
この記事の履歴
2019-01-12: 公開
2019-01-13: タイトルと本文中の間違いを訂正 (「毎日」→「毎月」)
2019-01-15: 追記を追記