remcat: 研究資料集

(TANAKA Sigeto)

「統計コミュニティは統計不正にどう対応したか: 毎月勤労統計調査問題における政府・専門家・非専門家のはたらき」出版のお知らせ

『東北大学文学研究科研究年報』73号に、論文「統計コミュニティは統計不正にどう対応したか: 毎月勤労統計調査問題における政府・専門家・非専門家のはたらき」を掲載した。 田中 重人 (2024)「統計コミュニティは統計不正にどう対応したか: 毎月勤労統計調…

事典項目の執筆:「公的統計の利用」日本家族社会学会 (2023)『家族社会学事典』丸善出版

日本家族社会学会 (2023)『家族社会学事典』(丸善出版) の項目「公的統計の利用」(146-147頁) を執筆しました。田中重人 (2023)「公的統計の利用」日本家族社会学会『家族社会学事典』丸善出版 (pp. 146-147) http://tsigeto.info/23k ISBN: 978-4-621-30834…

厚生労働省からの回答 PART IV

前回までのあらすじ 毎月勤労統計調査に関して、昨年8月8日 以降、厚生労働省とやりとりをつづけている。前回 (今年7月20日) には、調査対象事業所の労働者数が規模区分をこえて増減した場合のあつかいに関して、「少なくとも平成20年頃から集計に用いる事…

第8回「毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループ」資料解釈

厚生労働省「厚生労働統計の整備に関する検討会」の下に設置されている「毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループ」の第8回会議が2023年7月21日に開催されたので、その様子を傍聴した (オンライン)。その際の資料と議事録が、厚生労働省ウエブサイ…

厚生労働省からの回答 PART III

前回までのあらすじ 毎月勤労統計調査に関する質問について、昨年10月4日に厚生労働省から受け取った回答 についての私からの3点の追加質問に対する 回答を昨年10月26日に受け取っていた。このときの回答では、1つ目の質問については「確認中」ということで…

「日本のCOVID-19対応における多義語「クラスター」の用法: 2020年の記録」出版のお知らせ

『文化』(東北大学文学会発行の学内誌) 86巻3/4合併号に、論文「日本のCOVID-19対応における多義語「クラスター」の用法: 2020年の記録」を掲載した。 内容は、日本の新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 対応において重要な役割を果たした語「クラスター」…

ヤミ統計の研究

採択されました。 [2024-03-09 加筆]KAKENHI research plan (2024-2026) 科学研究費補助金 (基盤研究(C)) 2024-2026年度小区分: 社会学関連 研究代表者: 田中 重人 状況: 書類作成中※ 現在作成中の研究計画です。今後修正する可能性があります。 1. 研究目的…

人口動態統計における出生率等の計算式の1967年変更

前回記事「合計特殊出生率の計算式の1971年変更について」で書いたつぎの問題について、図書館で人口動態統計関連資料を確認してきた。 私は『人口問題研究』の記事しかみていないので、「厚生省統計調査部においては,昭和42年以降,人口動態統計に関する諸…

合計特殊出生率の計算式の1971年変更について

今日の東京新聞ウェブサイト (TOKYO Web) にこんな記事が載っていた: 少子化対策の重要な指標の一つ「合計特殊出生率」の公表値が、実態より過大であることが分かった。基となる厚生労働省の統計の対象が「日本における日本人」で、外国人の女性は計算に入…

大和総研の研究に基づく12月16日朝日新聞DIGITAL記事に対する質問書

『朝日新聞DIGITAL』サイトに掲載された記事「正社員女性、出産しやすくなった? 20年間を調査、出生率上昇 被扶養者では低下 大和総研」(浜田陽太郎 https://www.asahi.com/articles/DA3S15503331.html 2022年12月16日 5時00分) に、専門用語の誤用および…

厚生労働省からの回答 PART II

毎月勤労統計調査に関する質問について10月4日に厚生労働省から受け取った返信 について前回とりあげたが、その際に書いたとおり、折り返し追加の質問を送っていた。 なお、(1) について今後の確認が進んだときには連絡をもらえるか、(2) (3) については統計…

厚生労働省からの回答

前回記事 のとおり8月8日に厚生労働省あてに毎月勤労統計調査に関する質問を送ったのだが、その回答が10月4日に届いた。全文を記事末尾に示す。詳細はあらためて記事を書くこととしたいが、簡単に書いておくと、つぎのような感じである。 (1) (「資料2」の集…

厚生労働省への問い合わせ

前々回の記事 と 前回の記事 でとりあげたように、7月22日の厚生労働省「毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループ」(第5回) 資料2、内容がよくわからない。ほかの資料とつきあわせて想像できることはいろいろあるのだが、どうも決定打にかけるので…

追記:第5回「毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループ」資料2

前の記事 で「現在の『毎月勤労統計要覧』にも、同様の記述がある」と書いてしまった (訂正済) のだが、このときは2019年版 (=2018年調査を解説したもの) までしかみていなかった。その後、2020年版と2021年版 (=今年5月に出た最新版) を確認した結果、さら…

第5回「毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループ」資料2の解釈

厚生労働省「厚生労働統計の整備に関する検討会」の下に設置されている「毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループ」の第5回会議が2022年7月22日に開催された。その資料が前日の7月21日から厚生労働省サイトで公開されている。これらの資料のうち、…

統計委員会への手紙「毎月勤労統計調査で2018年1月から採用されている誤った推計法について」

統計委員会メンバー のうち、メールアドレスが公開されている方々にあてて、本日つぎのようなメールを発送しました。Subject: 毎月勤労統計調査で2018年1月から採用されている誤った推計法について統計委員会委員の先生方 (BCCでお送りしています。)東北大学…

毎月勤労統計調査、不正な結果を是正したはずの2019年再集計値も間違っていた

前回記事 で、毎月勤労統計調査における抽出率逆数の間違った利用法について解説した。この問題には調査数値復元と比推定のための母集団労働者数推計における層間移動事業所のカウントのふたつの側面がある。それらは2018年1月に始まったというのが厚生労働…

毎月勤労統計調査、抽出率逆数の扱いを2018年1月から改悪していたことが判明

毎月勤労統計調査の抽出率逆数の扱いがおかしいことについて、10月に「毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループ」参加者にあてて情報提供していた。その内容が、11月5日の第3回会議 で言及されたようである。この件についてこれまで書いてきた記事…

自動音声のみの電話調査に答えてはならない

衆議院議員選挙期間中に、「ミヤギテレビ」を名乗る自動音声調査の電話がかかってきた。「ミヤギテレビ」というのは 宮城テレビ放送 が使っている通称なので、同社に問い合わせてみたところ、本当にそういう調査をやっているという答えだった。これは大変な…

「毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループ」参加者への手紙

「毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループ」参加者のうち、メールアドレスが公開されている方にあてて、本日つぎのようなメールを発送しました。Subject: 毎月勤労統計調査の母集団労働者数推計に関する情報提供毎月勤労統計調査の改善に関するワ…

層間移動事業所と抽出率逆数:毎月勤労統計調査問題の死角

これまでの3つの記事で、毎月勤労統計調査の推計母集団労働者数がセンサスの労働者数から乖離している原因を、データ分析によりあきらかにした。 毎月勤労統計調査、今後のベンチマーク更新で大きなギャップ発生のおそれ (2021-09-11) 母集団労働者数推計の…

毎月勤労統計調査、2018年の集計方法変更で何か間違えた模様

前々回記事 で、毎月勤労統計調査の母集団労働者数推計がセンサスの数値から乖離している問題をとりあげた。 5-29人規模と500-999人規模事業所では、推計母集団労働者数が増加することにより、センサスからの乖離が生じている 30-99人規模事業所では、推計母…

母集団労働者数推計の謎:毎月勤労統計調査とセンサスはなぜ乖離しているのか

毎月勤労統計調査は、母集団労働者数を毎月推計しており、それを利用して集計のためのウエイトを算出している。この推計は、(1) 調査対象事業所に雇用されている労働者数の月間変動の推計、(2) 事業所新設・廃止等 (雇用保険事業所データによる) と事業所規…

毎月勤労統計調査、今後のベンチマーク更新で大きなギャップ発生のおそれ

8月26日、 毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループ の 第2回会議 があった。 オンラインで傍聴できる とのことだったので、申し込んで傍聴してみた。この第2回会議の主たる議題は、毎月勤労統計調査の「ベンチマーク更新」について。2016年の経済…

「「3密」概念の誕生と変遷: 日本のCOVID-19対策とコミュニケーションの問題」出版のお知らせ

『東北大学文学研究科研究年報』70号に論文「「3密」概念の誕生と変遷: 日本のCOVID-19対策とコミュニケーションの問題」を掲載した。もう2か月近く前の話になってしまったのだが、現物を受け取って写真を撮ったので、ご報告。田中 重人 (2021)「「3密」概念…

HeiQ Viroblock 使用「ウイルス対策寝具」についてDoherty研究所他に問い合わせた結果

前回記事「舘田一博出演 「ハイキュ ヴィロブロック」宣伝動画 (JAPAN magniflex) 書き起こし」で、マニフレックス (Magniflex) が販売している妖しげな「ウイルス対策寝具」をとりあげた。この製品については、新型コロナウイルス感染症対策分科会などで政…

舘田一博出演 「ハイキュ ヴィロブロック」宣伝動画 (JAPAN magniflex) 書き起こし

下記のツイートで、舘田一博・東邦大学教授 (新型コロナウイルス感染症対策分科会や基本的対処方針等諮問委員会など、政府のCOVID-19対策に深く関わる) が、「世界初のウイルス対策寝具」の広告塔になっていることを知った。 コロナ対策の政府分科会メンバー…

「家制度」をめぐる奇妙な言説

3月9日の『日本経済新聞』サイトに、「夫婦別姓は家制度を壊すか」というコラムが載った。 吾妻橋「夫婦別姓は家制度を壊すか」(大機小機) 日本経済新聞 2021年3月9日 2:00 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO69781280Y1A300C2EN2000/ このコラム、「家…

Interesting papers in IV ISA Forum of Sociology

International Association of Sociology holds the 4th ISA Forum of Sociology (online) from February 23 (Tuesday) to 28 (Sunday).Below is the list of 98 papers of my interest, selected based on title and abstract.(Date in BRT: Brazil Standar…

森を見なかったのは誰か:「積極的疫学調査要領」をちゃんと読む

要約 厚生労働省「クラスター対策班」設置以来、日本のCOVID-19対策は、小規模な感染の見逃しを許容しながら大規模な集団感染を重点的に発見する「クラスター対策」を中心に据える所に特徴があると公式に説明されてきた。しかし、実際の「積極的疫学調査」の…