remcat: 研究資料集

(TANAKA Sigeto)

高校保健副教材グラフ改竄問題

文部科学省高校保健副教材『健康な生活を送るために』(2015)「妊娠のしやすさ」グラフ改竄問題 → http://tsigeto.info/misconduct/j.html#falsification

研究成果報告書 (非科学的知識の生産・流通と「卵子の老化」パニック )

KAKENHI research (2017-2019) #17K02069 result report. 加齢による妊孕性の低下に関する非科学的な知識の生産・流通の実態を調査し、非科学的なグラフやそれを「卵子の老化」と結びつける言説が本格的に出現したのは2011年以降であること、しかしそれ以前…

STOP! 自治体の道徳PR事業: 愛媛県・まじめえひめプロジェクトへの抗議―緊急報告と、使用された「統計」の検証 (2/2 東京)〈連続勉強会・第5回:「国難」のなかのわたしたちのからだ〉

2020年2月2日(日) 14:00-16:30 渋谷男女平等・ダイバーシティセンター<アイリス>。西山千恵子・田中重人:愛媛県への抗議文―経緯と問題、県の対応。高橋さきの:「県民性」をめぐって――「血液型」そして「淘汰」

人口政策に組み込まれた「不妊」 (7/21 東京)〈連続勉強会・第4回:「国難」のなかのわたしたちのからだ〉

次々と繰り出される人口増加政策キャンペーン、とても見過ごせません。少子化社会対策大綱の見直しも気になります。少子化対策に関わる情報を検討する勉強会、第4回目を開催します。 〈連続勉強会「国難」のなかのわたしたちのからだ:第4回〉人口政策に組…

優生保護法の負の遺産 (5/11 東京)〈連続勉強会・第3回:「国難」のなかのわたしたちのからだ〉

「不良な子孫の出生を防止する」ことを目的とした優生保護法。合意のない強制的な不妊手術や中絶が、やっと可視化されてきました。 一方、優生保護法には母性の生命健康の保護というもう一つの目的がありました。堕胎罪がありながら中絶が条件付きで合法化さ…

「少子化」論を問う: その変遷と科学言説の検証 (3/24 東京)〈連続勉強会・第2回:「国難」のなかのわたしたちのからだ〉

2019年3月24日(日)14:00-16:30 東京麻布台セミナーハウス (大阪経済法科大学) 2階大研修室。 田中重人:「少子化」観の形成とその変化:1974年から現在まで。 高橋さきの:2010年代の「少子化」科学言説。

地方自治体による「ライフプランニング」支援事業

「ライフプランニング」は、2010年代日本の「少子化対策」のキーワードです。結婚や出産など家族生活を主眼においたライフプランを立てるよう若者に促すさまざまな試みが、行政主導でおこなわれてきました。若い男女の人生上の選択を誘導するための情報が講…

「卵子の老化」関連年表:1974-2015年

「卵子の老化」キャンペーンとそれに関連する出版物および政治的な動きを年代順にまとめておきましょう。 1974 「卵子の老化」が日本医学会シンポジウム [3] で言及される (8月) 1979 鈴木秋悦、「卵子の老化」についての解説論文 [2] を出版 1982 鈴木秋悦…

22歳ピークの「妊娠のしやすさ」グラフ

「卵子の老化」キャンペーンでは、卵子の数のみならず、女性の妊孕力そのものが年齢にともなって低下することをあらわすグラフも広く使われてきました。図6は、妊娠・出産に関する事項を学校で教えるよう、日本産科婦人科学会など9つの専門家団体が政府に要…

Life-planning guidance by the government

For the governmental pronatalist policy in the 2010s, “life planning” has been a key phrase. Various kinds of activities have been conducted to encourage youths to make a life plan regarding marriage, children, and other family issues. Lec…

Chronicle from 1974 to 2015

Here is a summary of the history of the egg aging campaign and related discourses. 1974 “卵子の老化” (egg aging) was mentioned in a discussion at a symposium [3] by the Japanese Association of Medical Sciences (JAMS) (in Aug.). 1979 Dr. Su…

Falsified graph of women's fertility with its peak at the age of 22 years

The egg aging campaign has also featured graphs that gave a direct impression of the declining fertility with the advancing age of a woman.Figure 6 shows a falsified graph that was used in a petition by nine academic associations, includin…

Egg aging campaign and Japanese pronatalist policy

Japan has experienced floods of fake knowledge about human reproduction in recent times. Most of them are created by professionals in the fields of obstetrics, gynecology, and reproductive medicine and spread widely through a mass media ca…

書き換えられる女のからだ――またも改ざん? 「女性の年齢と卵子の数の変化」グラフとその言説の検証 (4/1 東京) (連続勉強会:「国難」のなかのわたしたちのからだ)

次から次へと繰り出される人口増加政策キャンペーン、とても見過ごせません。2年後には少子化社会対策大綱の見直しが行われる予定です。そこで「少子化対策」にかかわる情報を検討、吟味していく勉強会を始めました。 <連続勉強会:「国難」のなかのわたし…

専門家の嘘と戦う方法

専門家・政府・メディアの責任 非科学的知識の広がりと専門家の責任: 高校副教材「妊娠のしやすさ」グラフをめぐり可視化されたこと では、専門家 (産婦人科医) の責任を中心にとりあげました。記事の最後からふたつめの段落ではつぎのように書いています。 …

【解題】非科学的知識の広がりと専門家の責任: 高校副教材「妊娠のしやすさ」グラフをめぐり可視化されたこと

日本学術協力財団の雑誌『学術の動向』22巻8号(=通巻257号) (2017年8月) に書いた記事「非科学的知識の広がりと専門家の責任: 高校副教材「妊娠のしやすさ」グラフをめぐり可視化されたこと」が J-STAGE (科学技術情報発信・流通総合システム) で公開されま…

非科学的知識の広がりと専門家の責任: 高校副教材「妊娠のしやすさ」グラフをめぐり可視化されたこと

『学術の動向』22(8): 18-23 に「非科学的知識の広がりと専門家の責任: 高校副教材「妊娠のしやすさ」グラフをめぐり可視化されたこと」というタイトルで寄稿しました。「卵子の老化」が問題になる社会を考える: 少子化社会対策と医療・ジェンダー という特…

『学術の動向』22(8) 特集 「卵子の老化」が問題になる社会を考える: 少子化社会対策と医療・ジェンダー (2017)

2か月前の話になってしまいましたが、日本学術協力財団発行 (日本学術会議編集協力) の月刊誌『学術の動向』2017年8月号 (22巻8号、通巻257号) に特集「「卵子の老化」が問題になる社会を考える: 少子化社会対策と医療・ジェンダー」が掲載されました。2016…

「ウィメンズヘルスリテラシー協会」とは

ウィメンズヘルスリテラシー協会は、2017年7月設立の一般社団法人。しかし、現在のところ、ウェブサイト http://www.womenshealthliteracy.website にはほとんど情報がなく、「協会概要」のページなど「ただいま、テキストを準備中です」と書いてあるだけの…

『文科省/高校「妊活」教材の嘘』出版記念シンポジウム (6/3 東京)

2015年8月に全国配布された高校保健・副教材は、改ざんされた「年齢と妊娠のしやすさグラフ」が載り、若いうちの出産を浸透させようとしたことで注目されました。この3月に「平成28年度版」が発行されました。さて、改訂版副教材の内容は!? 少子化対策は結婚…

『文科省/高校「妊活」教材の嘘』論創社 (2017)

2015年8月に公表された文部科学省作成『健康な生活を送るために』 の問題を指摘してきた 高校保健・副教材の使用中止・回収を求める会 の活動成果を記録した本が出ました:ed.= 西山 千恵子 + 柘植 あづみ (2017)『文科省/高校「妊活」教材の嘘』論創社 ISBN…

非科学的知識の生産・流通と「卵子の老化」パニック

KAKENHI research plan (2017-2019) #17K02069 科学研究費補助金 (基盤研究(C)) 2017--2019年度分野: 総合人文社会 分科: ジェンダー (gender) 細目: ジェンダー (gender) 細目表キーワード: 科学技術・医療・生命 (science, technology, medicine, life) 細…

高校保健副教材「妊娠のしやすさ」改竄グラフの原典について論文発表

2015年8月文部科学省作成の高校保健副教材『健康な生活を送るために』に改竄された「妊娠のしやすさ」グラフが載った問題について、『東北大学文学研究科研究年報』66号に論文を掲載:TANAKA Sigeto (2017) "Works citing Bendel and Hua on natural fecunda…

産婦人科・生殖医学で広報・政治活動に使われているグラフの科学的根拠の検討 (第26回日本家族社会学会大会報告:2016-09-11 (日))

第26回日本家族社会学会大会で報告をおこないます Date: 2016-09-11 (Sunday) 10:45-12:45 Location: 早稲田大学 (東京) Title: 産婦人科・生殖医学で広報・政治活動に使われているグラフの科学的根拠の検討 || Unscientific charts used in obstetrics, gyn…

Sheps (1965) Table 2 によるハテライトの女性年齢別婚姻内出生率 (ASMFR)

2016年3月31日の記事 【解題】高校保健副教材「妊娠しやすさ」グラフの適切さ検証: 人口学データ研究史を精査 - remcat: 研究資料集 のつづき。 年齢別婚姻内出生率 (ASMFR) はハテライトのデータからえられるわけだが、ここでなぜか Bendel and Hua (1978) …

Scientific literacy in schools: Lessons from a scandal about the 2015 health education material in Japan

(Created: 2016-08-29) This is an English translation of a Japanese manuscript "高校保健副教材「妊娠しやすさ」グラフ問題から考える科学リテラシー", prepared for a Tohoku University's pamphlet, Manabi no Mori.Manabi no Mori, No. 77, Table of …

高校保健副教材「妊娠しやすさ」グラフ問題から考える科学リテラシー教育

(東北大学の広報誌『まなびの杜』寄稿予定の小文。推敲途中のもの。)→『まなびの杜』77号 (2016年秋号、2016-09-30発行) 2頁に載りました http://www.bureau.tohoku.ac.jp/manabi/manabi77/ [2017-03-10加筆]田中重人◎文 text by Tanaka Sigeto 高校保健副教…

厚生労働省 動画「妊娠と不妊について」書き起こし (一部)

5月25日の国会質疑 のせいか、Youtube 上の厚生労働省動画サイト MHLWChannel にあった「妊娠と不妊について」の動画が閲覧不能になっている。どんな内容だったのかを紹介するために、全体の構成と問題部分の書き起こしを掲載しておきたい。 URL https://www…

「妊娠のしやすさ」改竄グラフ作成者は吉村泰典氏であることを内閣府が確認 (高校保健副教材「健康な生活を送るために」国会質疑)

5月25日(水) 参議院行政監視委員会で、高校保健副教材「健康な生活を送るために」(2015年版) についての質疑がありました。委員会の動画は http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=3704&type=recorded でみられます (委員会開始後38分20秒あた…

6月18日【シンポジウム】少子社会対策と医療・ジェンダー ― 「卵子の老化」が問題になる社会を考える

最近、「高齢妊娠」や「卵子の老化」、「妊活」などの言葉をよく耳にするようになりました。社会経済的な理由で出産を決意するまでに年齢が高くならざるをえない状況がある一方で、国や自治体の少子社会対策が、「産めなくなる」不安をあおっています。生殖…

柘植 あづみ (2016)「少子化対策の教育への浸潤: 「医学的・科学的に正しい知識」とは」『現代思想』44(9):218-227

本稿では、この副教材「健康な生活を送るために(高校生用)』(平成二七年改訂版)のうち、少子化社会対策としてぺージ数が増やされ、内容が改訂された妊娠・出産のページ(全四ページ)を検討することによって、行政と専門家集団(ここではおもに産婦人科…