remcat: 研究資料集

(TANAKA Sigeto)

新型コロナウイルス感染症

日本政府および専門家による「クラスター対策」の根拠とその批判

「「3密」概念の誕生と変遷: 日本のCOVID-19対策とコミュニケーションの問題」出版のお知らせ

『東北大学文学研究科研究年報』70号に論文「「3密」概念の誕生と変遷: 日本のCOVID-19対策とコミュニケーションの問題」を掲載した。もう2か月近く前の話になってしまったのだが、現物を受け取って写真を撮ったので、ご報告。田中 重人 (2021)「「3密」概念…

HeiQ Viroblock 使用「ウイルス対策寝具」についてDoherty研究所他に問い合わせた結果

前回記事「舘田一博出演 「ハイキュ ヴィロブロック」宣伝動画 (JAPAN magniflex) 書き起こし」で、マニフレックス (Magniflex) が販売している妖しげな「ウイルス対策寝具」をとりあげた。この製品については、新型コロナウイルス感染症対策分科会などで政…

舘田一博出演 「ハイキュ ヴィロブロック」宣伝動画 (JAPAN magniflex) 書き起こし

下記のツイートで、舘田一博・東邦大学教授 (新型コロナウイルス感染症対策分科会や基本的対処方針等諮問委員会など、政府のCOVID-19対策に深く関わる) が、「世界初のウイルス対策寝具」の広告塔になっていることを知った。 コロナ対策の政府分科会メンバー…

森を見なかったのは誰か:「積極的疫学調査要領」をちゃんと読む

要約 厚生労働省「クラスター対策班」設置以来、日本のCOVID-19対策は、小規模な感染の見逃しを許容しながら大規模な集団感染を重点的に発見する「クラスター対策」を中心に据える所に特徴があると公式に説明されてきた。しかし、実際の「積極的疫学調査」の…

第2波と第3波はどこがちがうのか: 「クラスター」の規模を比較する

分科会資料として公開された7月と12月のクラスターのデータからいえる、「第2波」と比較した「第3波」の特徴は、 (1)「接待を伴う飲食店」クラスターの寄与の低下 (2)「職場」「教育施設」クラスターの寄与の上昇 ということになろう。「会食」についてはカ…

データに基づいて「クラスター対策」を評価する

昨日の記事 で「現在では、政府やそれに関係する専門家が口にする「クラスター」は、「2人以上の集団感染」である。「多数の感染」という意味は完全に消失している」と書いたところ、そうじゃない情報がいきなり出てきた。 政府の新型コロナウイルス対策の分…

日本政府のいう「クラスター」は「複数感染事例」です

前回の記事 https://remcat.hatenadiary.jp/entry/20210106/eat にこのようなコメントがついていた。 分類に家庭内が無いが、クラスターは概ね5人程度の発生を目安としているから、核家族化が進む現状では、家庭内での感染でクラスターになる例があまり多く…

クラスター分類は自由自在?: 分科会 (第12, 19回) 資料にみる数値操作

要旨 「飲食店でのクラスターが多い」という議論の論拠となっている新型コロナウイルス感染症対策分科会第19回会議 (12月23日) 資料のグラフが不審であり、数値が操作されている疑いがある。第12回会議 (10月23日) の資料と比較した結果、クラスター分類の恣…

クラスター vs. クラスター

「クラスター」という概念は、何らかの基準で一定の範囲を区切って患者の集団を識別する目的で使われる。日本の新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 対策で言及される「クラスター」は、おおむね、(1) 場所による基準、(2) 感染ネットワークによる基準、の2…

「クラスター」定義各種

日本の新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 対策において、「クラスター」ということばはさまざまな異なる意味で使われており、混乱を招いている。このことばにはどのような定義があり、どこがちがうのか、解説を試みる。 目次 豊洲市場問題と東京都の「ク…

メディアと専門家が修正する歴史 (2): 尾身茂「飛行機の中で感染したという例は、今のところ一件も報告がありません」(文藝春秋9月号)

3月23日神戸-那覇便クラスター 10月23日、国立感染症研究所の雑誌『病原微生物検出情報』に、神戸空港から那覇空港への飛行機 (3月23日) で発生したとみられるCOVID-19集団感染の報告が掲載された。 2020年3月26日, 〔那覇市保健所〕管内の医療機関からCOVI…

Preprint 「「3密」概念の誕生と変遷: 日本のCOVID-19対策とコミュニケーションの問題」

https://remcat.hatenadiary.jp/entry/20200921/3m で紹介した資料等を基にした論文を書きました。 OSF Preprints でとりあえず公開しています:Tanaka Sigeto. 2020. 「3密」概念の誕生と変遷: 日本のCOVID-19対策とコミュニケーションの問題. OSF Preprint…

「3密」とは何だったのか

日本の新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 対策において重要な概念である「3密」あるいは「3つの密」について、政府文書、報道等でどのようにあつかわれてきたかの資料。適宜加筆します。 目次 前史 「よどんだ」環境 3月3日プレプリント 厚生労働省Q&A 2…

日経「新型コロナ「正しく恐れて」 わかってきた特徴と対策:チャートで見る感染再拡大」記事に関する質問書

『日本経済新聞』電子版に掲載された表記記事 https://www.nikkei.com/article/DGXZZO62684590V10C20A8000000/ がいろいろおかしいので、下記の質問書を同社に送りました。 (https://support.nikkei.com のフォームから 2020-08-15 14:47 送信。インシデント…

メディアと専門家が修正する歴史:4月の感染拡大は帰国者のせいか

東京新聞の記事とその疑問点 東京新聞が「検証・コロナ対策」という特集をはじめている。新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 対策について、「その歩みを振り返り、危機への備えに何が必要かをあらためて考える」のだという。その第1回、「水際対策強化に…

「8割は人にうつさない」は嘘? (4): 答え合わせ

COVID-19対策「日本モデル」の前提となってきた、COVID-19感染のほとんどはSSE (super-spreading event) で生じるという命題について、Furuse et al (2020) 「日本モデル」の前提となってきた、COVID-19感染のほとんどはSSEで生じるという命題について、Furu…

感染症対策「日本モデル」を検証する: その隠された恣意性 (『世界』934号)

岩波書店発行の月刊誌『世界』2020年7月号 (=934号) の特集1「転換点としてのコロナ危機」に、つぎの小文を寄稿しました。 感染症対策「日本モデル」を検証する: その隠された恣意性 岩波書店 『世界』 2020年7月号 (934号) 本稿で「日本モデル」と呼んでい…

重症者を検知器とするクラスター対策およびその帰結について

クラスター対策の基本的性質 Science のサイトに Japan ends its COVID-19 state of emergency という記事が掲載されていました。 Then, whereas much of the rest of the world built its response to the pandemic on widespread contact tracing, isolati…

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 対策「日本モデル」に関する文献

執筆中原稿について情報源のメモ (随時追加します): 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(二〇二〇年四月一日) https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000617992.pdf 高橋直純「入院は重症者優先、…

「8割は人にうつさない」は嘘? (3): 数字の盛りかた指南

「8割は人にうつさない」に飽き足らず、さらに誇張したグラフが使われている問題について。 目次 「新型コロナクラスター対策専門家」による「例示」グラフ 暗数を補正する 「3密」クラスターの見落としがある場合 どうなれば終息するのか おわりに [ 前の…

「8割は人にうつさない」は嘘? (2): 専門家の情報操作

2月末~3月頭の政府情報と報道 前回記事 「「8割は人にうつさない」は嘘? (1): Nishiura et al (2020) 論文をどう読むか」 でとりあげた厚生労働省Q&Aのグラフが公表されたのは、2月29日のようである。厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の…

「8割は人にうつさない」は嘘? (1): Nishiura et al (2020) 論文をどう読むか

新型コロナウイルス感染者の8割は人にうつさない、という言説とその根拠とされる論文についての検討。 目次 厚生労働省の謎情報とメディア言説 Nishiura et al (2020) 3月3日版 改訂版 感染例のデータ構造 なぜデータ上の2次感染数がすくないのか 議論 厚生…