remcat: 研究資料集

(TANAKA Sigeto)

濫用される国際比較調査と日本の世論形成 (第61回数理社会学会大会 (3月17日) 報告)

さて、前の記事 でとりあげた、日本産科婦人科学会等9団体による「学校教育における健康教育の改善に関する要望書」 にはもうひとつ、「図2 妊娠・出産に関する知識(国、男女別)」という国際比較のグラフものっている。これはカーディフ大学のジャッキ−・ボイバン教授を中心とする「スターティング・ファミリーズ」調査(または「International Fertility Decision-making Study」)によるグラフであり、「妊娠・出産の知識レベルが、日本は世界に比べ低い水準にあるという研究成果」として提示されている。このグラフは、2015年の「少子化社会対策大綱」において、数値目標を定めるのに使われた。

http://www.jfpa.or.jp/images/paper/201503_01_z2.gif

3月17-18日に上智大学で開催の第61回数理社会学会大会では、この調査を批判する報告をおこなう計画である。

このデータが社会調査の基礎をふまえないデタラメなものだったことの検討とあわせて、産婦人科/生殖医療関連学会やマスメディアや政府がどのように調査結果を濫用してきたかをあきらかにする予定。この問題に興味のあるかたはぜひとも御来聴を。(数理社会学会の会員でなくても入場できるはず。というか、私も会員でない。)

[2016-02-08 追記]
プログラム決定。本報告は、1日目 (3/17) 11:25-12:40 自由報告 第4部会「社会問題と公共性」の第3報告。 → 第61回数理社会学会大会プログラム: http://www.jams-sociology.org/?p=1569