remcat: 研究資料集

(TANAKA Sigeto)

感染症対策「日本モデル」を検証する: その隠された恣意性 (『世界』934号)

岩波書店発行の月刊誌『世界』2020年7月号 (=934号) の特集1「転換点としてのコロナ危機」に、つぎの小文を寄稿しました。

本稿で「日本モデル」と呼んでいるのは、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の2020年4月1日「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(第2回) に出現した用語で、「市民の行動変容とクラスターの早期発見・早期対応に力点を置いた日本の取組」をあらわすものです。

本稿では、その前提となった、少数の感染者がいわゆる「3密」の状況で大量の2次感染を起こすという想定を検証します。根拠となった2020年2月26日までの感染状況の分析結果と、専門家が改変して説明に使用してきたグラフを検討し、恣意的な仮定に基づいた解釈がおこなわれていたこと、別の仮定を置けば日本モデルは支持できなくなることをあきらかにします。(https://remcat.hatenadiary.jp/entry/20200408/making ほかの記事の内容とほぼおなじです。)

さらに、新型コロナウイルス感染症に関して、本件以外にも疑わしいデータが政策判断に使われてきたことを指摘し、第三者による批判・検証が可能な情報を公開するように主張します。