remcat: 研究資料集

(TANAKA Sigeto)

子ども数の選好に関する質的研究

date: 2013-09-08 09:00-10:30
is: 自由報告 (2) 出生行動
loco: 静岡大学 静岡キャンパス 共通教育A棟103
by: 岡村利恵(お茶の水女子大学大学院)
title: 子ども数の選好に関する質的研究
data: インタビューの調査対象者は、首都圏に在住する20〜40 代の夫婦または子どもを持つ母親であり、主にスノーボールサンプリングで選定した。現在まで15名に調査を実施することができた。15名のうち14名が大卒以上の学歴を持ち、収入も全国平均と比較して高い……予め用意しておいたインタビューガイドに従い、半構造化面接調査を行った。
method: インタビュー内容は逐語的に文章化し、グラウンデッド・セオリー・アプローチ(戈木クレイグヒル、2006;西條、2004;2007)を参考にしながら、リサーチクエスチョンに基づいてそれぞれの語りの文脈を詳細に繰り返し検討して概念を生成した。
description: 自らのきょうだい関係を通じたポジティブな経験、実母などの身近な育児経験者による意見、そして友人・知人の子ども数の観察によって生じるきょうだい関係への肯定的評価が、「自分の子どもにもきょうだいをもたせたい」という意識に結びついて、子ども数の選好は具体化されていた。その時期は人によって異なっており、どの部分を切り取って「理想子ども数」と見なすのかは判断が難しい。ただ、配偶者との結婚に先行するかたちで個人として持ちたい子どもの数が明確になっている場合もあることがわかった。また、配偶者との相互関係が成熟する過程で出産や子育てがより現実味を帯び、夫婦間でお互いに持ちたい子どもの数を確認しあっていることが明らかとなった。しかし、夫婦はその選好を変化させるような出来事を結婚と出産の過程で経験する。何人子どもを育てるか、子どもを大学に進学にさせるか否かは夫婦の人生設計と重なる部分が多く、人によっては緻密な計画のもとどのような生活水準を維持したいかということも意識して出産計画を練っていた。また第1 子の誕生によって夫婦は、実際に子どもを育てるコストがどのくらいであるのかを知る。さらに、出産による役割の変化は育児を主に担う妻に葛藤を引き起こす。親になることで経済的、精神的、時間的制約が課される一方、子どもの誕生は経験したことのない充実感や喜びをもたらすこととなる。それは人によっては、自分の存在意義と表現されるほどであり、子どもを持つことの強力な動機であると思われる。
source: {http://www.wdc-jp.com/jsfs/conf/2013/documents/youshi1.pdf} 『第23回 日本家族社会学会大会 報告要旨』(2013-09-07,08 静岡大学)
page: 94-95